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愛さずにはいられない。

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『そうさ。愛さずにはいられないんだよ。
 過ぎてしまったことだとしても、
 思い出すと切なくなってしまうんだ。』
                  レイ・チャールズ”I can't stop loving you”(1962)

年かさが増すにつれ、大なり小なりひねくれてしまうのは仕方のないことである。
何もネガティブな話をしているわけじゃない。事実に即した話をしているだけだ。
具体的にどうひねくれるかというと・・・つまりである。あー、コホン。

例えば、昔は思い通りに振る舞ってくれる女性が好きだった。
というか、思いも寄らぬことをする女性は苦手だった。
振り回されて、自分が制限されてしまいそうな気がしたからだ。
これは何も苦手な女性のタイプと言う短絡的なハナシではない。
すべからく、制限されることが大嫌いだったのである。

例えば、雨。
これはもう、傘嫌いが服着て歩いていると言っても過言ではない僕にとって、
行動も何もかもが制限されるから大嫌いであった。

例えば、スキー靴。
スキーは大スキーなのだが、身体的自由を大きく制限するスキー靴は、
僕にとって憎むべき存在であった。
あの不自由きわまりない靴のおかげで、ゲレ食(えっと、ゲレンデの食堂ね)のエントランス階段で
頼まれもしない蒲田行進曲ばりの階段落ちを演じてしまい、
血だるまで救護室に搬送されることは、誰しも経験があると思う。

まだある。
例えば理髪用ケープ。
幼少の頃、床屋で強制的に装着されるアイツが嫌いで嫌いでならなかった。
自由を奪われるという観点からも、アイツは十分忌むべき存在であったのだが、
なによりもあのケープってやつを巻かれた直後に、
決まって鼻の頭やら頬やらがかゆくなるのだから始末が悪い。
万人がケープを恨んで止まぬものと信ずる。

さて、ここまで嫌いなものを列挙し、罵倒しまくった手前何とも言いづらいのだが、
未だにそれらを憎み嫌っているかというと、実はそうでもない。
趣向の変化と言おうか、なんと言おうか。
大嫌いだったはずのものに、最近はミョーにトキメクのである。

今日の東京は午後からあいにくの雨模様だったのだが、
その予報を聞いたときから僕の胸は躍っていた。
傘は相変わらず大嫌いだが、雨の中、軒先をハシゴしながら散歩するのは結構楽しく、
かなり上級な部類の都会生活者の楽しみだと断言する。

で、かつて大嫌いだった激しい雨の中をスキップしながら散歩していたら、
やはりかつて大嫌いだったつながりで、床屋のアイツを思い出した。
そう。あのケープ。
(余談だが、ケープはCapeと綴る。語源はポルトガル語で、「雨合羽」のカッパは
 このCapeから由来したと言われる。=きゅびのほぼ役に立たない豆知識講座)

思い立ったら吉日。
どうしてもあのケープに巻かれた不自由さを味わいたくてたまらなくなり、
近所の理髪店に駆け込んだ。

案内されて着座するなり待望のケープが巻き付けられた。
幼少の頃に味わったのと勝るにも劣らぬ不自由さ。
鼻の頭がかくにかけないもどかしさに恍惚としていると、
「髪型はどのようにされますか?」と理髪店のご主人。

しまった。そこまで考えが及んでいなかった。
「え、えっと・・・。」
「どの程度お切りになりますか?」
「ほ・・・ほぼ現状維持で。」

まるで得体の知れない昆虫を見つけたかのような、ご主人の怪訝な表情は、
きゅびが選ぶ今年の印象的な表情選手権ぶっちぎりのトップである。

それた話を戻そう。
思い通りに行かないものにこそ感じるトキメキ。
これは対人関係にも当てはまったりする。
つまり、「何考えてんだ、このスットコドッコイ(-公- ;)」
・・・というような、まったく思考が読めない女性に魅力を感じたりするのである。
(註:とは言ってもそれなりに限度がある。)

僕はコーヒーが好きである。
コーヒーの命は何と言っても風味である。
故に挽き立てが旨いと思うので、20年来愛用のミルで丁寧に挽いてドリップする。
やはり旨い。

ところで、嫁もコーヒーをたしなむ。
これは僕の影響である。
こと料理においても同様なのだが、嫁にとってスピードこそ真理。
僕の流儀をコーヒーを愛する北辰一刀流とするならば、嫁のそれは撃突剣の天然理心流。
豆を無造作に計量スプーンで取り出し、そのまま全自動のコーヒーメーカーに放り込みスイッチオン。
待つこと数分でコーヒーの一丁上がりというスタイルである。

つまり、我が家のキッチンでは僕が丹念に豆をごりごり挽いている横で、
嫁のコーヒーメーカーが唸りを上げてコーヒーを製造していたりする。
「ここに愛はあるのか?」と毎朝問い質したくなるのだが、
このスットコドッコイぶりもまた嫁の魅力の一つなのではないかと、最近は思うようにしている。

さて、ハードボイルドタフガイと来れば、切っても切れぬ仲は酒である。
「女どもとは切れても、こいつとはね。」とか言ってみたいものである。
小説や映画の中のタフガイ達はえてしてバーボンウィスキーを愛飲しているが、
僕の場合は芋焼酎か麦焼酎かスコットランドウィスキーである。
微妙にニュアンスが異なるように思われるかも知れないが、これらはすべて蒸留酒であり、
その根幹的スピリットはすべて同じなのである。・・・とおもう。

で、その芋・麦・スコッチでも、とりわけ好きなものが存在するのは趣味人だからしょうがないのである。
すなわち、「くじら(もしくは海)」「兼八(もしくはおこげ)」「ラフロイグ(もしくはジェイムソン)」がそれである。
今日の雨のお散歩途中で、ふと家のウィスキーが無くなっていたことを思い出した。
酒を切らすなど、ハードボイルドタフガイとして由々しきことであるので、
僕は一も二もなくジェイムソンを取り扱っている店に飛び込んだ。

問題なく愛飲のジェイムソンは入手出来たのだが、いつもいつも思うことがある。
何故この店はスーパーマーケットと共存しているのだろう?
しかも、何故よりにもよってレジが女性用下着売り場と共同なのだろう?
一体何が悲しくて泣く子も黙る駒沢のジャックニコルソンが、ウィスキーの瓶一本片手に
パンツとかストッキングとかブラジャーを買う主婦の列に並ばねばならぬのか。

表題写真を見ていただきたい。
手前に写っているのは、ハードボイルドタフガイ愛飲のジェイムソンであり、
向こうに写っているのは、何カップだか知らぬが、商品の交換を希望するオバチャンのブラジャーである。
ちなみに写真の撮りようがなかったので写っていないが、
背後にはやはりブラを商品かごにしこたま入れたオネーチャンが一人いた。

ここに酒を買いに来ると、かなりの確率でこういうシチュエーションに陥る。
しかもレジ係が一人しかいないため、今日のように商品の交換や返品希望者がいると、
その間ずっと待っていなくてはならないのである。

待つことが苦痛なのではない。これは重要な注釈として声を大にして言いたい。
ただ待つことではなく、女性用下着売り場で待つことが苦痛なのである。
今日はとりわけ最悪で、僕の前の交換希望オバチャンは商品をクレジットカードで購入していたものだから、
購入商品の取り消し作業などで、およそ10分間僕は色とりどりの小振りな布きれに囲まれた、
下着売り場のレジで棒立ち状態だった。

あまりの苦痛に危うく後ろのオネーチャンを
「ずいぶんかわいらしい下着つけてるんですね?お住まいはどちらですか?」
とか口説くところであったが、辛うじて残っていた理性のおかげで、
ハードボイルドタフガイ改め単なる変態エロオヤジにならずに済んだ。
ヒジョーにギリギリのところであった。

10年前なら、意地とプライドにかけて、間違ってもこんな場所で酒を買いはしなかったであろう。
だが、歳を重ね趣向が変わった今、愛さずにはいられないのである。
酒も、このスットコドッコイなレジの配置も。

(本当に重要な註:返す返すも女性用下着売り場に並ぶことは苦痛でしかありません。)
Commented by osakaken at 2011-05-23 09:43 x
「この写真好き!」・・どうして?なぜ?と 文章を追いかけたくなる 素敵な写真です。

たぶん・・一昔前なら 仲良くできなかったかもね~~!だって「何するかわからん 子!」と 何度も言われた覚えがあります。ハハハ・・

「雨」は 建物の中から 見ているのがいいなあ。
でも レインコートも一応 あるし・・今年はレインシューズも買い直しました。ほらね! 私も 少しは適応してきているでしょう!?

コーヒーは 立ててもらえるだけで満足して下さい。
我が家も サイフォンをセットするだけです。^^:

ウイスキーお好きなようですが・・
惜しかった!中目黒にある「BAR SAWA」には 美味しいスコッチがありました。只今 店舗改装中です。
ここのママは 元宝塚ジェンヌです。
オープンしたら是非!
Commented by masshy85 at 2011-05-23 10:51
奥の水色の物は下着みたいだけれど、手前の酒とどうなってるの?
と思いながら読んで、納得!

スーパーなら下着とウイスキーが一緒に置いてありうるわね。
でもレジで一緒になっちゃう、そうね、ありうる!

コーヒーはペーパードリップです。
前は毎日挽いてていたけれど、今は100gづつまとめちゃってますね。
Commented by meron33ninja at 2011-05-24 00:08
うわ~この写真を撮るのもかなりの勇気がいりましたでしょう?
携帯じゃ「パリ~ン」とかシャッター音がするし・・
(=^з^=)
下着とウィスキーってどうして同じ売り場なんでしょうねぇ・・・
よくわからないです。
女性は平気だけど・・・
もし アダルトビデオ売り場に ケーキが売っていたら
こんな感じかなぁ・・・
う~~ん ・・・・
Commented by hinemosunorari at 2011-05-24 07:28
■大阪ケンさん
こんな写真を「素敵」と言って下さる大阪ケンさんさんの度量の大きさに感服いたします^^;
「何をするか分からない子」って、第三者の誰かから見たら何をするか分からないのだろうけど、本人的には自分なりにきちっと筋を通してることが多いですよねー。
記事を読み直してみて、ふと子供の頃を思い出してみたら自分も十分「何をするか分からない子」だったという;;;
Commented by hinemosunorari at 2011-05-24 07:55
■masshyさん
なにも、下着売り場のレジと会計を共にすることは無かったと思うんですけどもねぇ(-公- ;)
ま、酒屋さんには酒屋さんの、スーパーにはスーパーの
常人には計り知れぬ事情があってのことなのでしょうね><;;
Commented by hinemosunorari at 2011-05-24 07:59
■meronさん
絶妙な例えにしびれました^^;
まさに、そんな感じの違和感ですよ~
写真はですね、「秘技、咳払いの術」を使いましたよ^^
かつて、撮影一切禁止の英国大使館でもこの技を駆使して
表題写真を作りました^^v
Commented by ksao at 2011-05-24 13:42 x
写真だけ見ると、空港の税関で、手荷物を開けられて、シャブがお目見えした現場だと思いました。
Commented by hagumi-biyori at 2011-05-24 15:00
面白いですねぇ(≧ε≦o)ププッ
都会でも、そんなお店があるんですね。
私が昔住んでいた実家のマンションの近くに西武があります。
琵琶湖を埋め立てて建てられたものなので、地下が作れません。
(と、聞いた事があります。間違ってたらスイマセン。)
ある日、都会から来たらしい人達が
「衣料品と食料品が同じ階にあるなんて信じられない!」
と言っているのが聞こえてきて、ハッとした記憶があります。
そういえば、食料品って地下にあるとこが多いなって。
その時は、ここが田舎だから、こんな作りになってるのかなぁって思ってました。
でも、さすがにレジは別でした^^;
オバチャン、サイズが合わなかったのかなぁ?
Commented by masshy85 at 2011-05-24 23:28
meronさん、お上手!
さすがです。
Commented by hinemosunorari at 2011-05-25 07:45
■saoさん
健康志向が強いので、昔からシャブ類は一切やりません。
粉もので好きなのは、お好み焼きかもんじゃ焼きくらいですね( ̄∇ ̄;) ハッハッハッ
Commented by hinemosunorari at 2011-05-25 07:49
■hagumiさん
まぁ、いろいろなおばちゃん事情があったのでしょう。
さすがに、「このブラのいったいどこがいけなかったんですか?」と
突撃取材するほどの度胸は持っていませんでした(ノД`)・゜・。シクシク
その、都会からお邪魔した方々に、我が家至近のこのスーパーも評してみてもらいたいですね^^;
一言。「あり得ないこと何てあり得ないんですよ。」
と行って差し上げたいですw
Commented by hinemosunorari at 2011-05-25 07:51
■masshyさん
ブログ主の代わりに返事をして頂いたようで、
とってもありがたく、且つ申し訳ないです^^;;
次回、また機会がありましたら、是非ともお願いします
(*- -)(*_ _)ペコリ
Commented by ふた at 2011-05-25 13:56 x
女性下着売り場にウィスキーが売ってる場所・・・・・
新手のランジェリーパブくらいしか想像出来ません。

ちなみにデパートとかでエスカレータで上の階、もしくは下の階に
移動する時にどうしてもその横にある下着売り場に目が行きます。
また、そこでスケス○の下着を手に取って購入すべきか否かと迷ってる
女性の顔見て、この人がこんなのを・・・とか、違うんじゃないの?とか
思いながら、抱っこしてる娘の顔を見て、この子も・・・・・??と考えてしまう、日曜の昼下がりでした。


Commented by hinemosunorari at 2011-05-25 21:41
■ふたさん
深いっ!とても深いっ!
下着売り場を徘徊することは(目のやり場に困ってしまうので)ほぼないけど、エスカレーターね!!
なんか、下着売り場で品定めしている女性の姿って、男は知らない方が良いのかも知れないって思ったりしますよ(-公- ;)
Commented at 2011-05-25 22:20
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by hinemosunorari at 2011-05-27 08:14
■非公開コメントAさん
非公開コメントに公開コメントで返事をせねばならぬもどかしさかな。
五七五で返事を書こうと思ったのに
字余りどころの騒ぎではない字余りっぷり(-公- ;)
とりあえず、諸々了解いたしました。
こちらこそよろしくお願いいたします。
Commented by おおちゃん at 2011-05-31 14:16 x
くいつかずには?!いられない写真ですね(笑)

>思いも寄らぬことをする女性は苦手だった。
そうですか。
私は逆ですね~。
昔は思いも寄らぬことをする男性が大好きだったんですよ。
まぁ、散って散って散りまくって気がついたんです。
「こんな男性を好きになっては身がもたない」と(爆)

下着売り場レジで待ってるのは気が気ではなかった事でしょう。
カップルで、女性の下着売り場をウロついているのを見かけると男性に「喝」と言いたくなるのはオバチャンだからでしょうか・・・・。

Commented by masshy85 at 2011-05-31 23:50
すみません、meronさんとは面識がある物で、つい!
Commented by ふた at 2011-06-02 16:23 x
すっかり、ブログみるのを忘れてました・・・・。

エスカレータと原宿や渋谷の路面店を横切ると見えてしまうんだよね。
下着が見えるのは良いんだけど、品定めをしてる女性の顔はちょっと
見たくないね。
ま、男が下着売り場で、あーではないこーではないってのもやだけど。

カップルであーだ、こーだもね。

フタを開けるまでのお楽しみが好きです。
Commented by hinemosunorari at 2011-06-12 23:06
■おおちゃんさん
「散って散って散りまくって」というあたりに
おおちゃんさんの壮絶な半生があぶり出されているようです;;
笑って語れる過去で何よりだと心底思いました^^
「喝」は次回是非実行してみて下さい^^
オバチャンだからと言う理由以外の何かに気づくかも知れません^^
Commented by hinemosunorari at 2011-06-12 23:07
■masshyさん
ありますよねー。そういうの!
・・・と、激しい遅レスのくせにしれーっと回答してみます^^;
Commented by hinemosunorari at 2011-06-12 23:10
■ふたさん
ふたさんだけにフタつながりですか!うまいっ!
歳が同じという理由以外でも、どうもあなたとはハナシが合ってならない;;
また近日中に男のロマンについて語り合おう!
Commented by hagumi at 2011-07-13 21:20 x
変なコメントに、きちんと返事しちゃうきゅびさんが
とてもおちゃめだと思う今日この頃ですが
いかがお過ごしですか?
Commented by hinemosunorari at 2011-07-14 00:02
■hagumiさん
をー!これまたお久しぶりです^^
バカがつくほどの律儀振りは健在ってことなのですw
それにしても忙しいですねぇ><;
台湾に仕事で一週間ほど行っておりまして、
帰国してみりゃ、どっちが台湾だか分からないくらい
日本も暑くなってて、ビックリしてます
(-公- ;)
Commented by seawolf_squall at 2011-07-14 12:27
きゅびさん:先日はコメントありがとうございました。それにしてもここはコメント欄が掲示板のごとく盛り上がっている稀有なパターンですな。((^^;;
お互い時間が中々取れませんが、是非一緒に酒か昼飯でも行きたいものです。
Commented by hinemosunorari at 2011-07-22 10:06
■シャチさん
何から何まで希有なパターンが多くてお恥ずかしい限りです;;;
シャチさんの「独静」は何かこう、陳腐ではない格好良さがあります。
言葉で説明しようとすると安っぽくなっちゃうので避けますが、
にじみ出る格好良さ故のお気に入りなのです^^
8月前半から中盤くらいなら、少しは仕事がゆるみますので
ぜひともお酒を!!
by hinemosunorari | 2011-05-23 04:12 | 日々のよしなしごと | Comments(26)

洒落と知性と愛そして無駄の織りなすブルース。


by きゅび
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