この涙を君の為に捧げよう。

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一昨日、僕は仕事で横浜中華街にほど近いあるホールにいた。
昼の公演が終了して、控え室に戻る。
何気なくつけたテレビでは、秋田の事件が報道されていた。
胸が潰れる思いだ。

どうしてあどけない子供が、本来守ってくれるはずの大人の手にかかって
殺されなければならないのだろう?
平和と言われる日本において、類する無残な凶行は昨今とても多い。

その背景に原因として潜んでいるものは何か?
どんなに考えても、僕に答えは出せない。僕の力じゃ解決も出来ない。
父親になった今、この無力を知り涙が出た。
止まらなかった。

有用な策も見あたらないまま、いずれまた子供が犠牲になる。
大人の笑顔を信用して、子供は心を許し、手を差し出す。
差し出されたその手を引いて、大人は子供を物陰に連れ込み、裏切り、命を奪う。
まだ何年かしか生きていない彼らが、人生の中で最後に見る光景は、
最後に脳に刻まれる記憶は、あまりにも残酷だ。

つらい。
ものすごく、つらいよ。

何故なら、僕も大人だから。
こんな滅茶苦茶な世の中で、平気な顔をして生きていける大人だから。
約束破ったり、嘘ついたりしながら、生きてる大人だから。
汚れきった世の中で生活しておいて、「僕は絶対に潔白です。」なんて言える奴は、
偽善者か馬鹿か人殺しだけだと思う。

***********************************

本番終了後、出演者にお願いして花束を分けて頂いた。
持ち帰って花瓶に挿して、窓辺に置いた。
少しでも穏やかな花の香りが夜空に香るように、窓を開けた。

鎮魂歌は知らなかった。
幼くして命を奪われた彼らの無念が、こんな花の香りごときで和らぐわけなど無いのだが、
今の僕に出来るただ一つの事だった。

「あなた達が犯罪の犠牲になってしまったことは、とても悲しいことだけれども、
 もしももう一度生まれてくることがあったら、
 どうかまた同じ優しい心を持ったままでいてくださいね。
 だって人を憎んだり、恨んだりしながら生きていくことは、とても悲しいことだから。
 あなた達なら、わかるよね?」
 
そう言って手を合わせた。
どうしようもない涙が、また溢れてきた。
あなた達の手を引き、暗がりに連れ込み苦しめた大人のひとりだけど、
こんな社会を作ってる同じ大人の一人だけど、
この涙は他の誰の為でもなく、君の為に捧げよう。

どうか、安らかに眠って下さい。
Commented by ぷぅすけ at 2006-06-07 09:00 x
同じ子を持つ母として本当にショックでした。
こんなことは二度と繰り返されないでほしいですね。
Commented by 大阪 ケン at 2006-06-07 09:55 x
私はこの事件には驚く事が多くて・・。報道の仕方にも問題がありますが・・もし犯人である女性が二人とも殺めていたら 同じ女性として母として大人として・・いろいろな意味で辛い。この女性の生い立ちがわかりませんが・・報道を見ているとどうも この人の周りには温かなものが 無い。卒業アルバムには「苛めてもらって 強くなったでしょう~」とかあるのを見ると・・信じられない。子供さんの冥福を祈るしかありませんが・・私達はもっと根本的な優しさを考えないとこのままだと 狂ってしまう。競争だけで お金だけで 生きてきた大人は 辛い時どうしたか?助け合って慰めあってきたか?足を引っ張り・・ののしり・・さめた目で互いをみてきたのでは ないか?そんな中で 「人の心を持った親」は育つのでしょうか?何ができるか?わからないけど・・少しだけ 考えれる事をやりながら 子供の命に謝りたいと思います。
Commented by ☆ふーが at 2006-06-07 09:58 x
私も、そんなことを思いつつ、一昨日「鎮魂歌」を弾きました。。。
Commented by もも。 at 2006-06-07 11:01 x
こういった事件によって、遺された家族の傷みや、周囲の困惑が見えるのもまた、胸が痛いですよね。 それによってまた人間不信になり、それを防ぐための環境でまた、人間らしい「繋がり」が希薄になり、それによって更に思い遣りを知らない人間が形成され・・・
嗚呼、そうでない世の中であって欲しいのに。 でも、その世の中に自分も居て・・・想いは果てないですね。
だけど、ここに来て、きゅびさんの涙に触れられることで、みなさんのコメントを読ませていただくことで、やはり人間は暖かい、と感じることも出来るのだと思います。
Commented by アストラッド at 2006-06-07 14:09 x
速報で犯人逮捕を知ったとき、背筋を冷たいものが走り抜けました。
あまりにもむごすぎます。 
いつの間にこんなにおそろしい世の中になったのでしょうね・・・・
今こちらの学校でもCAPプログラムなどで、子供が自分の身を守る方法を教えているのですが、見知らぬ人なら子供も用心できるでしょうが、今回の件のように、
身近な人が殺意をもっているなんて、子供は思いもしないでしょう。
それを考えると胸が苦しくなります・・・。

幼い二人の魂のために祈りをささげます。
Commented by ふた at 2006-06-07 14:15 x
最近のニュースは考えられない出来事が多すぎます。
それが”当たり前”になっていく(慣れてしまう)事が怖いと思ってます。
後は、警察の対応にも困惑します。
もう少し、ちゃんと対応してたら、こんな事にならずにすんだのでは?と思うこと
ばかりです。ニュースを見るのが怖くなってくる今日この頃です。
Commented by アルピニア at 2006-06-07 19:47 x
きゅびさんのその思いは、きっと伝わっていると思います。
「相手の立場になって考える」 
相手は、大人だろうが子供だろうが動物だろうが、そんなことは関係ありません。
100%、そんなことは無理だけど、少しだけ、、ほんの少しだけでも、そういう他者を思いやることの出来る気持ちがあれば、世界はもうちょっと棲みやすくなっているのかも。。
・・なんかまとまりのないコメントでごめんなさい。
Commented by きゅび at 2006-06-07 19:52 x
■ぷぅすけさん
 本当に、心の底からそう思います。
 が、悲しいかなこのような事件は頻発しているのが、現状です。
 より能動的に行動しなくては、事態は好転しないように思えます。
■大阪ケンさん
 報道では、容疑者の生い立ちや私生活を掘り下げてばかりいます。
 確かに事件の発端はなんだったかを探る手がかりにはなるでしょうが・・・
 僕はその報道姿勢にも憤りをおぼえます。
 大事なのは容疑者の生い立ちではなくて、幼子の痛みを自分の痛みとして
 捉えることのできない、僕を含めたこの社会全体だと思うのです。
 大阪さんがおっしゃる「子供の命に謝りたい」というその心の声を、
 僕たちが、社会全体が、何よりも切実なものとして自分から復唱できるならば、
 こんな惨劇も2度と起こらないでしょうね。
■ふーがさん
 世の中の放送局で一つくらいは、亡くなった子供のためにレクイエムを流したのでしょうか?
 僕の耳には残念ながら入ってきませんでした。
 願わくば、フーガさんの奏でたレクイエムが、天国にいる彼らの記憶から
 悲しみをすすいでくれます様に。
■もも。さん
 涙は何で出たのかな?と思います。
 殺された幼子が可哀想だったからかもしれませんし、
 こんな嘘みたいな社会全体に憤り、絶望したからかもしれません。
 でもやっぱり一番は、幼子の命を奪ったこの社会の一員なことです。
 僕は聖人君子じゃないし、朱に交われば朱に染まるただの人間です。
 だから、幼児を暗闇に引きずり込んだのは、自分のような気がしたのです。
 子供の悲鳴は、僕の悲鳴たりえたか?そう思ったら、泣かずにはいられませんでした。
■アストラッドさん
 本当ですね。子供がどれほど警戒したって、限界があります。
 人の痛みを敏感に感じ取れる愛情さえ心にあれば、
 ここまでひどい事件はおきないでしょうに・・・。
 驚いてしまうような力を持っているアストラッドさんの祈りが、
 天国にいる彼らの元へ届きますように。
Commented by きゅび at 2006-06-07 19:55 x
■ふたさん
 まったくだよ。
 容疑者も警察もマスコミもヒドイ奴らばっかりだ。
 でもね、あいつ等と俺って、実はそれほど違わないんじゃないかと思ったんだ。
 気がつけばこんな重大事件をただの「一社会事件」として
 ニュースの中の出来事みたいにみなしている自分がいたりして。
 嫌だったなぁ。本当に。
 柄じゃないけど、子供を抱きしめて声を殺して泣いたよ。
Commented by きゅび at 2006-06-07 20:04 x
■アルピニアさん
 まとめるコメントのほうが難しいんじゃないかと思います。
 幼子はきっと殺される直前「助けて!助けて!」と叫んで抵抗したでしょう。
 誰に向かって叫んで、誰に、何に向かって抵抗したかを考えたら、
 なんだかその場で傍観している自分の姿が突然見えました。
 アルピニアさんの言うとおり、思いやる愛情さえあれば・・・同感です。
 せめて、彼らには安らかに眠ってほしいと願ってやみません。
Commented by mai at 2006-06-07 22:01 x
ニュースを見てびっくりです。まさか近所の仲良しだったお母さんが???誰も思いませんよね。まさか我が子も亡くなってるのに。。。殺すだなんて。。。。わかりません。。。。
Commented by きゅび at 2006-06-08 09:13 x
■maiさん
 本当に。目を覆いたくなるような、耳をふさぎたくなるようなニュースは
 もうたくさんです・・・。
Commented by もも。 at 2006-06-08 09:30 x
あたしも以前、仔猫を虐待して息絶えさせる、その経過を映像で公開してる・・・という事件について、頭も心もグルグルグルと混乱し嘔吐感さえ憶えた記憶があります。そのときに数日悩んで、ブログに想いを綴ったのですが、そのとき、その事件自体も怖いし、疑いのない澄んだ眼でこちらを見ている仔猫が可哀想だった感情ももちろんあったのですが、こんな小さな命を残虐に奪い楽しむ人間と、自分が、同じ「人間」であるということが辛く・・・そして、自分にも同じ要素が芽生える可能性もあるのだろうか?と考えると怖くて・・・といった感情になったのを、いまでも憶えています。

長・・・すみません┏○ペコッ
Commented by きゅび at 2006-06-08 13:26 x
■再び、もも。さん
 確かにね。そんな子猫にあたるほどその人を孤立させたのは何だったのだろう?
 あまりにひどいニュースを見ると、考えずにはいられませんね。
by hinemosunorari | 2006-06-07 06:10 | 日々のよしなしごと | Comments(14)

洒落と知性と愛そして無駄の織りなすブルース。


by きゅび
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