FATHER'S SON(2)

ピカッ バリバリバリバリ!
ザァーッ

突然の夕立。
皆はとっくに学校から帰ってしまっていた。
僕だけはクラスで飼育している金魚を全滅させた疑いで、
放課後担任の先生に一人怒られていた。

悪気があったのではない。
この美しい金魚が、ライムグリーンに輝く水の中を泳いでいたら、
物凄くきれいだろうなぁ・・・
そう思って、水槽に自分の家のバスクリンをといただけだ。

ともかく、帰宅の途中でモロに夕立にあってしまった。
僕は走って通学路の途中にある神社の境内に駆け込み、軒下で雨宿りをした。
全身びしょ濡れだった。
雨が吹き込まない場所まで避難して、ランドセル下ろしてフタを開ける。

「神様仏様、どうか無事でありますように・・・」
そういって僕が取り出したのは我らが小学生の宝物、
ウルトラマンカードの台帳だった。

「よかった。大丈夫だ・・・あれれ?!
 ああっ!ウルトラの父がっ・・・ウルトラの父がっ・・・」
嘆いたのも無理はない。
カードの中でもとりわけ貴重なウルトラの父のカード。
それが糊付けが甘かったのか、台帳から剥がれ落ちてランドセルの底で
ぐちゃぐちゃに折れ曲がっていた。

どうしてよいものか分からずに、僕はただただ悲嘆に暮れた。
「ウルトラ兄弟5人と引き換えに、ようやく手に入れたカードだったのに・・・
 しくしくしく・・・。」
悔しくて悔しくて、涙がぽろぽろあふれた。

と、その時不意に誰かが肩を叩いた。
「これこれ、何をそんなに泣いているのだね?
 君が失って悲しんでいるのは、このウルトラマンカードかな?
 それとも、この未成年者は入手できない、○○○なエロ本かな?」
「・・・・・・・。」

見上げるとそこには、ウルトラの父のカードとエロ本を手にした、
デブでチビでバーコードハゲの見慣れぬおっさんが、いつの間にか立っていた。
「欲するもののところに、その人の心があるのだよ。
 心美しき少年よ。さぁ、恐れずに心のままに正直に言ってごらん。
 君が泣くほどの、大切なものはどちらだい?」
「・・・・・・・。両方。」
「バカモノっ!」
「いてっ!何すんだよハゲジジイ!
 大体誰なんだよおっさんは!」
「良くぞ聞いてくれた。
 少年よ、驚きのあまりチビってはいけない。
 私は何を隠そうM78星雲からやってきた、ウルトラの父なのだ。」
「ホンモノ?」
「ああ、そうとも。」
「デブのくせに?」
「そうだ。」
「チビのくせに?」
「そうだ。」
「バーコードハゲのくせに?」
「少年よ、それ以上私をいじめたら、容赦なく泣かすぞ。」

僕はおっさんを頭のてっぺんからつま先まで、よく観察した。
やはり、どう建設的に見積もったところで、並以下のヘボイ中年にしか見えない。
そもそも、ウルトラマンはテレビの中のお話でしかないのだ。

「おっさん、本当はただのエロジジイなんだろ?
 頭が変で、まともな社会じゃ誰も相手にしてくれないから、
 通りすがりの小学生に話を聞いてもらってんだろ?」
「人を信じる事を忘れた、悲しき少年よ。
 夢を忘れてしまった、哀れな地球人の少年よ。
 今から真実を話そう。
 私の言葉に耳を傾け、そして胸に刻むのだ。
 全ての話を聞き終える頃には、少年よ、君の運命が180度かわって・・・
 バカモノっ!退屈そうにあくびをするなっ!!」
「いてっ!だって、僕は雨宿りしてただけなのに・・・」
「年寄りの話は、黙って最後まで聞くものなのだ。
 ったく、近頃のガキと来たら・・・親の顔が見たいわ。
 ・・・ともかく、地球人の少年よ。
 今から私が語ることを、耳の穴かっぽじって、よく聞くのだ。」

そう言って、おっさんは誰もいない神社で話を始めた。
雨はまだまだ強く降り続いていたから、仕方なく僕はおっさんの話に付き合うことにした。
担任の先生に説教された上に、見知らぬおっさんの話まで聞かされるなんて
最低な一日だと思った。

                                   つづく。







」」」」」当時のコメント」」」」」

m⇔k (´・ω・):;*。':;ブッ ナイスなおやぢだわww
話聞きた~~~い!!
2005/09/16 17:49

きゅび ■m⇔kさん
 続きをバンバン書きます!お楽しみくださいませ^^v
2005/09/17 00:16

アルピニア (* ̄m ̄)ぷぷっ バーコードのウルトラの父って・・ww
さ、次にいかなくちゃww
2005/09/17 12:41

きゅび ■アルピニアさん
 きっと、ウルトラの父の地球人の姿は、そんなイメージのはず!
2005/09/17 22:41

☆ふーが 楽しみ~
2005/09/20 20:39
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by hinemosunorari | 2005-09-16 00:09 | 日々のよしなしごと | Comments(0)

洒落と知性と愛そして無駄の織りなすブルース。


by きゅび
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