DINING BAR CUBIC PART 3・・・屋根の上の女神(3)

ああ、いけない。
ヴィーナスの電話の内容をこっそりと立ち聞きするつもりだったのに、
私ときたら、すっかり彼女に見とれちゃっていました。

ねぇあなた、彼女が一体誰と何を話していたか、教えてくれやしませんかね?
聞いてたでしょ?話の内容を。
相手は誰なんです?
勿体ぶらないで、教えてくださいよぉ。
他人のプライベートをこっそり盗み見ている、共犯者じゃないですかぁ。

あれ?
ちょっと、静かに。
誰か来たみたいですよ?
階段を上る足音が近付いてきます。
いや、足音だけじゃなくて・・・何でしょう?
ビルの屋上だというのに、ムーディーなジャズが聞こえてきましたよ?
ええと、この曲は確か・・・・・
************************************
「あら?何かしら?
 音楽が聞こえてくるわ・・・。
 
  ♪In other words, hold my hand
  In other words, darling kiss me・・・
 
 これ、FLY ME TO THE MOONね。
 あ、店長・・・」
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャン。
 今晩は。ダイニングバー・キュービックの店長です。」
「店長・・・そのフレーズはあまりにも古くて、とてもじゃないけど笑えないわ。
 それよりも注文したお酒、持ってきてくださった?」
「ええ。もちろんですとも。
 毎度当店をご利用頂き、有難うございます。
 早速ただいまから用意させていただきます。
 ・・・いやぁ、それにしても今夜はとても綺麗な星空ですね。」
「ええ。その通りね。
 星を見るのは、いいわね。
 みんなの上に平等に輝いているけど、こうして眺めていると・・・
 何だか私だけをずっと照らしてくれているような、
 そんな錯覚におちいるの。
 とても・・・とても優しくね。
 店長もそんな風に夜空の優しさを感じる事、ある?」
「人間、生きてりゃ擦り傷の一つや二つは持ってますよ。誰だってね。
 疲れたときは僕だって、同じように星に慰められたりするものです。
 ・・・どうぞ。ご注文のアドニスです。」
「ありがとう。
 ・・・・ふぅ。おいしいわ。」

「・・・さて、と。
 そろそろ、その悲しげな瞳のわけを、ひとつ教えちゃくれないか?」
「え?」
「お前さんとの付き合いはもう随分長くなるが、
 いつからか毎年決まって七夕の夜は、こうして屋根の上から星空を眺めてるじゃねぇか。
 それも、悲しそうな目をしてな。」
「・・・・・・・・。」
「水くせぇぞ。幼馴染なんだ。
 お前の苦しみを解決してやる事は出来ないかもしれないけど、
 話しちまえば楽になることだってあるんだぜ。」
「・・・・。
 あたしの話し、全部聞いたらあなた惚れちゃうわよ?
 それでも、いい?」
「あのな、今こうして二人きりだから言うけどな、
 その・・・。
 ああ、くそっ。言いづれぇなぁ。
 何て言うか・・・その・・・
 お前、そういうことはファンデーションから生えてるアゴひげを剃ってから言えよ。
 な?ヴィーナス・・・いや、鉄男。・・・岩田鉄男。」
「むきーっ!
 ちょっとアンタッ!あれ程あたしを本名で呼ばないでって言ったでしょうが!
 あたしはヴィーナス!
 道を歩く男どもが振り返る、麗しき美女ヴィーナス!
 鉄男って名前は捨てたのよッ!訂正して詫びなさいよッ!」
「わ、悪かった。
 頼むからそれ以上怒るな。
 恐ろしい上に、腹がよじれて苦しい。」
「うきーっ!
 何よアンタッ!侮辱してくれちゃって!ウザイわよっ!
 ああっ、屈辱だわ!咬みついてやるッ!!」
「ひぃー。こ、こわいっ!
 いや、面白い!いや、やっぱりこわいっ!
 
 わるかった、謝るから勘弁してくれ!この通りだ!
 本当に、心配してるんだ、鉄・・・じゃねぇ、ヴィーナス。
 お前さえ良けりゃ、俺に事情を話してくれ。
 な?な?」
「あんたの事は勘弁ならないけど、話を聞いてくれるってなら話してもいいわ。
 ええ、話してあげようじゃないのよ。
 あたしはねぇ、そこらのオカマとは役者が違うのよ。
 寛大で美しいオカマなのよ。
 あんた、わかったら今日の酒はおごりなさいよね。」
「わかった、わかったから、もうちょっと離れてくれ。」
*************************************
・・・・・・・・。
ご、ごめんなさい。何だかめまいがしてきました。
あの、ヴィーナスが・・・私の心の支え、マイ・アイドルだったヴィーナスが
そんな秘密を持っていたなんて・・・。
こんな大変な事があってもいいのでしょうか?

え?何だか話が面白くなってきたですって?
あなたは通りがかっただけですから、そうかもしれませんが、
私は面白いどころか、大変です。

でも・・・そうですよね。
誘ったのは私のほうですものね。
あなたのおっしゃる事は、筋が通っています。
わかりました。
私も責任を持って、最後までお付き合いしようじゃありませんか。
さ、二人で一緒にヴィーナスの話を聞きましょう。



                             つづく




」」」」」当時のコメント」」」」」

アルピニア (≧∇≦)ぶぁっはっはっ!!! そうきたかーーーーww
さー続きを読まなくちゃww
2005/06/12 16:54

m⇔k ゲッΣ(||| ▽ |||) ♂かいな!!!
2005/06/12 17:26

はむねこさん はむおの淡い恋心散る・・・il||li _| ̄|○ il||li
2005/06/12 19:46

きゅび ■アルピニアさん
 軽い、どんでん返しでございます^^
■m⇔kさん
 厳密に言えば、中間でございます。
■はむねこさん
 ミ(ノ_ _)ノ=3 ドテッ!!  
2005/06/14 02:30
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by hinemosunorari | 2005-06-12 05:37 | 日々のよしなしごと | Comments(0)

洒落と知性と愛そして無駄の織りなすブルース。


by きゅび
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