アンファンテリブルと懺悔。

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「LES ENFANTS TERRIBLES」。フランスの詩人、ジャン・コクトーの代表小説であります。
邦題は「恐るべき子供たち」。
この作品をもじって、大人の予想を超えた行動をする早熟にして非凡な少年少女のことを
「アンファンテリブル」なんて呼ぶのが、ちょっと前に流行りました。

ところで、昨日のことです。
皆様のご意見は全く無視しつつ、きゅびが個人的にはとても気に入っているお話が
「世田谷線人情物語」なのですが、これに世田谷線の写真を添付しようと思いました。
思い立ったが吉日。言う時ゃやる時を地で行くきゅびであります。
仕事を中断して会社の近所の世田谷線の駅まで写真を撮りに行きました。

その途中、とある豪邸の庭に植えられている高さ約5,6mはあろうかという樹木を発見しました。
上の写真の左側に写っている毛むくじゃらの木がそれです。
この樹木の正式な名称は存じませんが、きゅびのPCのフォトアルバムには「燃える木」として
保存されております。
鋭い方なら、今日のテーマと「燃える木」とこれまで列挙してきたきゅびの悪行の数々を思い返せば、
もうおおよその話は想像できるのではないでしょうか?

きゅび、小学校3年の夏休みのことです。
以前「世田谷線・・・」で登場した浩次と昼間から散々遊び倒したくせに、
無尽蔵に体力があったきゅびは晩御飯を食べた後もう一度遊ぶことにしました。
夜の遊びといえば、昔も今も「火遊び」と相場が決まっています。
家庭を持った現在では「火遊び」の代償があまりに甚大なため、
もっぱら「火遊びのフリ」程度の戯言で済ますことが多いですが、
幼少のみぎり「火遊び」とは、危険きわまりない文字通りの「火遊び」でありました。

浩次と待ち合わせしたのは確か午後8時ごろ。
当時の小学生が遊び歩いても良いとされる時間は大幅に超えていました。
手には大量の花火と宇宙戦艦ヤマトのプラモデル。
その後大ブレークするガンダムは放送していたかもしれないし、していなかったかも知れません。
でも、その時のきゅびにとって、ヒーローは間違えなく戦闘班長・古代進でしたし、
その弊害で浩次はいつも宿敵デスラー総統でした。

つまり、何がしたかったかというと、ヤマトとデスラー艦のプラモデルに花火をくっつけて、
リアルに戦闘を再現したかったのです。
30代半ばにしてこんなことを真剣に書くのは、かなり馬鹿馬鹿しいのですが、
馬鹿馬鹿しいことを真剣にやっていた小学生だったので、仕方ないのであります。
場所は公園だと大人の目に付くため、具合がよろしくない。
そこで浩次の家の近所にある○○信用金庫の駐車場が、会場に選ばれました。
ここなら夜間は人目がないことを知っていましたし、
爆竹・ロケット花火などの破裂音を伴う花火さえしなければ
大騒ぎにはなるまいと我々は踏んだのです。

塀をよじ登って侵入した駐車場は、まさに誰も来ない秘密の楽園。
そう、イスカンダルそのものでした。
そのイスカンダルを舞台にデスラー(浩次)と古代進(きゅび)は死闘を繰り広げました。
昔の子供の遊びの良いところは、細かい設定や小難しい伏線などお構いなしで
いきなりドラマのハイライトから遊びに夢中になれることでした。

その日もいつも通り、浩次の「フハハハハ、会いたかったよヤマトの諸君。」ではじまり、
浩次のデスラー砲(手で持つ花火の柄を切ったやつ)をものともせず、
きゅびの波動砲(通常地面に置くやつ。通称ドラゴン)が、デスラー艦を一気に飲み込み、
プラスチックの溶ける嫌な臭いがするところまで、存分に堪能しました。

ここでやめておけば、あの悪夢の1日は無かったのです。
その日に限って浩次が、
「ねぇ、きゅびちゃん。俺もたまには地球人がやりてぇ。一緒にヤマトやろうよ。」
と言ったのです。
普通ならその場で浩次にコブラツイストを掛けるところなのですが、
いつも浩次のデスラー艦を真っ黒焦げにしてた手前、良心が痛みました。
で、つい 「よしっ。じゃあ、ダブルヤマトで戦おう!」 と口走ってしまったのです。

当然「戦う」からには、相手が必要です。
しかも、当時の常識から考えて、悪役は見るだにおぞましく、正体不明なものである必要がありました。
そんな時我々の目にとまったのが、後日「燃える木」と命名されることになる
写真左側の木なのであります。
桜でもなくて、杉でもなくて、銀杏でもなくて、柳でもない。
当時のバカな小学生にとっては、それだけで十分得体が知れないのです。
加えてなんか毛みたいなのがうじゃうじゃ生えてるし、悪役キャラにはうってつけでした。

二人で協議した結果、ダブルヤマトがダブル波動砲で正体不明の敵惑星(木)を
撃滅するというストーリーで行くことになりました。
前述したような当時の麗しき子供の慣わしにのっとり、物語は何故かクライマックスの
ダブル波動砲発射10秒前から始まります。

エセ古代進(浩次) 「対ショック・対閃光防御」
本物古代進(きゅび)「ダブルヤマト、ダブル波動砲発射10秒前」
浩次&きゅび「9,8,7,6,5,4・・・・・・」

ライターを握り締める二人。
全神経をヤマトの先端にねじ込んだドラゴン花火に集中する。

浩次&きゅび「3,2,1・・・・・」
浩次&きゅび「ダブル波動砲、発射ぁっ!!」
導火線に点火する二人。  
浩次&きゅび「・・・・・・・・・・・・」
ドラゴン花火「ジジジジジジジジ・・・・ゴォーーーーーー!!!」
火を噴くドラゴン花火。
効果音を当てるバカ二人。

きゅび「ずがーーーーん」
浩次「ちゅどーーーーん」
きゅび「どがーーーーーん」
浩次「ぼがーーーーーん」

燃える木「ぼっ。」

きゅび&浩次「え?」
燃える木「ぼぼぼぼぼぼ。」
きゅび&浩次「あわわわわわわわわわっ」
燃える木「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

波動砲が火を噴いてモノの数秒後でした。
木から生えている毛が波動砲に引火しました。
地上約50センチのところで引火した火は、あっという間に上へ上へと燃え広がり
5秒後くらいには高さ5,6mの巨大な火柱になりました。

「びえーん!」
泣き虫だった浩次はすべてを放棄して、泣きながら逃げました。
きゅびは、とりあえず安全なところまで後ずさり、死んだ振りをしました。
消化用具の準備など何もしてなかったので、そびえたつ火柱をどうすることも出来なかったのです。
10秒か、20秒か、あるいはもっとか、
時間は良くわかりませんが、恐る恐る顔を上げてみると
さっきの火柱はどこへやら、そこには綺麗に除毛され、つんつるてんになった木が立っていました。

「あれ?火事は?」
自分の不始末で想像を絶する事故を招いたと思ったきゅびは
人生のカタストロフを見た分、あまりにあっけない鎮火に
不謹慎にも拍子抜けしてました。

結局その後通報も何もなく、真夏の夜を焦がしたあの巨大火柱をこの世で知るのは
きゅびと浩次の二人だけのようです。
一目散に逃げ出した浩次は、当然きゅびが死んだ振りをしたことなど知る由も無りません。
彼の中では未だにきゅびが身を挺して必死に消火活動に当たったことになっているはずです。
後日、当然きゅびにあらん限りのプロレス技を浩次が掛けられたことは
皆様の想像に難しくないことと思います。

アンファンテリブル。
コクトーの描く作品は、物凄く繊細で美しく、純粋で残酷です。
きゅびの話の引き合いに出したら、ばちが当たりそうなほどですが、
写真の木を久しぶりに見つけた昨日、事件を思い出したときに連想した言葉は
「アンファンテリブル・・・・・恐るべき子供たち」
ただ一つでございました。
もうじき2世が生まれることを考えると、
空恐ろしい話であります。


」」」」」当時のコメント」」」」」

吉田主任 口うるさい大人に見つからなくてよかったですねw私の火遊びは消防署がきちゃいました
2005/01/19 15:58

三井花子 親になり・・・自分の犯した罪の大きさに気づくのである!!
2005/01/19 16:14

きゅび
■吉田主任さん
 あらら^^;今度は自分が口うるさい大人になる番です^^;
■三井花子さん
 ぎくっ。耳が痛いです><
2005/01/19 16:42

m⇔k その木 近所にたくさんありまふ。σ( ̄◇ ̄;)はヤシの木だと思ってまして・・・
2005/01/19 17:21

azteca23 なんとなく懐かしかったです カエルの子はカエルでしょう( ̄ー ̄)ニヤリ
2005/01/19 22:04

はむねこさん あはは^^恐らく「棕櫚の木」だと思われます♪「シュロの木」です
私の家の庭にも何本かありますよ。ヤシとは少し違うのかな・・・
意外と日本に根付いてるので見たことある人はあるかも(〃∀〃)♪
2005/01/19 22:35

ぴの彦 学生時代、下宿内でダンボールに火を付け燃え上がったにもかかわらず、酔いのせいで笑い転げてたあの頃…楽しかったなぁw
2005/01/19 22:52

ryoma2005 ジャン・コクトーを引き合いに出すのが面白い。素晴らしく純粋で、且つ、無知ゆえの行い。笑いました。「古代よ。。。地球だ、何もかも懐かしい」。沖田館長のあのセリフと、雪の眼差しだけは忘れられません。
2005/01/19 23:20

きゅび
■m⇔kさん
 やしの木。確かに雰囲気は似てますね^^
 仕事でむしゃくしゃしたときには、ホンノちょっと火であぶってみてください。
 2,3秒でいいはずです。但し、自己責任ってことで^^;
■azteca2さん
 バカに共感してもらえて、助かりました。それにしてもヨン様、似合ってます^^
2005/01/20 01:18

☆やすたん★ あははw 他の木に移らなくてよかったね♪
僕は小学生の頃は、門限5時で、破ると「おきゅう」でしたが・・・orz
2005/01/20 01:22

きゅび
■はむねこさん
 ありがとう!!!!「棕櫚の木」っていうのですね!
 自宅の庭で、是非暇を作って検証してみてください。
 そうすればはむねこさんも次の日から「燃える木」と呼ぶはずです!
■ぴの彦さん
 や、楽しいじゃなくて、危険ですから><b
■ryoma2005さん
 おおっ、忘れていた名台詞が!!
 流石です!一発友録したきゅびの目に間違えはなかった^^v
2005/01/20 01:25

きゅび ■やすたんさん
 ようやく常識的な「延焼しなくて良かった」的なコメントが出ました。
 我がブログに足を運んでいただいている方の良識が問われかねないところを
 助けていただいて、ありがとうございました(*_ _)人
2005/01/20 01:31

吉田主任 (´゚ω゚):;*.':;ブッ 最初にコメントするのは止めようかと悩みましたw
2005/01/20 19:48

∮える∮ 宇宙船艦ヤマト・・・。
歌は知っている気がしますが、登場人物は誰一人思い浮かびません^^;
2005/01/20 21:17

アストラッド 火傷しなくて良かったですねぇ(((( ;゚д゚)))アワワワワ 北海道にはない木だなぁ
宇宙戦艦ヤマト・・大好きだったなぁ~~~なつかすぃ~~~~
映画観て号泣した小学5年のわたし・・・
2005/01/20 22:42

ryoma2005 ヤマトネタですが、「さらば」は泣きました。ジュリーの歌もよかった。あの正義感が、デスラー総統の友情。あの時代が懐かしいです。
2005/01/21 00:11

★アクアマリン ほんと 大事にならなくてよかったですね^^;
私には そう言う経験がないからよく解らないけど いろんな悪戯をしたり自己主張をしたりすることも とっても大切なことなんだよね・・・ きゅびの2世だもん・・・ そりゃぁ~ きゅびを超えるようなことをしてくれると 今から期待してます♪^^
2005/01/21 10:57

ririka34 これから生まれてくるかけがえのない2世様・・・親子はどうしても似るもの
なのです・・。 この時のきゅびさんの年齢に達したら・・どうか監視をお願い
します・・w きゅびさん、奥様・・がんばって下さい・・
2005/01/21 12:28

きゅび
■再び吉田主任さん
 あはは^^;気になさらずに類稀なる視点でコメントをお願いいたします^^
■えるさん
 若い方は、それでよいのです。はい。
■アストラッドさん
 そうそう!劇場版、かなりなけましたよね!!
 あれ?アストラッドさんってもっとお若い方かと、、、(*_ _)人
■再びryoma2005
 ううむ。同世代の香りがこちらからも。。。
 沢田研二、マイアイドルでした。未だに、「勝手にしやがれ」といえば
 ハンフリーボガードというよりも、沢田研二を連想します。
■アクアマリンさん
 きゅび2世。親を超えるってぇことは、、、、((((_ _|||))))
 きっと来月以降ブログに登場予定です^^;
■ririka34さん
 鎖でつないでおきます。(_ _(-ω-;(_ _(-ω-; ペコペコ
2005/01/21 13:39

はむねこさん 画像見ました(〃∀〃)♪なんとも良い感じです^^・・・ソレダケデス・・・
2005/01/21 17:07

きゅび 有難うございます^^!
冬桜。(二)のはむねこさんへの返事を書いていて気がつきました^^;
あれが、世田谷線です^^2両編成で、ちょっと前までは床も壁も全部木造だったんですよ^^アジがありました!
2005/01/22 01:31
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by hinemosunorari | 2005-01-19 12:59 | 日々のよしなしごと | Comments(0)

洒落と知性と愛そして無駄の織りなすブルース。


by きゅび
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