純真な涙

予定の急な変更は得意技です。
生来計画を立てるのがあまり得意ではなく
ずぼらに、かつ日々を退屈しないように過ごすほうが、
むしろ得意でした。

前回の日々のよしなし事の最後に
「ブログで次回予告って言うのがあってもいいんじゃねぇか?」
と思い立って、かなり純度の高い思いつきで予告を発表してしまいましたが、
今日はあまりにも感動的な出来事があったので
どうかタイトルの変更をお許しください。

きゅびはもっぱらテレビをあまり見ない人間です。
ニュースやピタゴラスイッチなど、極めて限られた番組は見るのですが
ドラマやバラエティーの類は、あまり見ません。
そんなきゅびが、とても楽しみにしていた番組が今夜あったのです。
K-1 world GPだと思った方は、ちょっと苦労が足りません。
世の中にはまだまだあなたの魂を揺さぶる、ドラマチックな出来事が
山ほどあるのです。
J1-J2入れ替え戦 柏対福岡戦の中継だと思った方、
寝言は寝てからおっしゃってください。

きゅびが1年間心待ちにしている番組。
それは何を隠そう
「30人31脚」
なのです。
ぶっちぎりで感動いたしました。

正直言って、K-1GPも観ましたよ。
武蔵の善戦には心を打たれました。
しかし、泣けない。
なぜならそれは、彼がプロだから。
いかにこの10年間武蔵は苦労した、と放送局が盛り立てようが
所詮はプロなのであります。
プロなら苦労などあたりきしゃりきなのであります。

あえて誤解を恐れずに言っておりますが、
当の武蔵さん自身、本当はあんな取り上げ方をされたところで
当惑されていることと察します。
「今日この日のために積み重ねた10年分の苦労が、云々、、、」
などと局に言われたところで、本人はプロ意識を持ってやっているわけですから。
そんなお涙頂戴的な、浪花節実況をするアナウンサーより
「同情するなら金をクレ」
と叫んだ、かつての安達祐実のほうが
はるかにプロ根性の何たるかを分かっていると思います。

ああ。お話が逸れ始めています。
今日の本題は、「30人31脚」です。
K-1GPの、アツイ男の戦いで泣けないのに
何故たかだか小学生のお遊びで泣けてしまうのか?
武蔵と違って彼らはプロでもなんでもない、ただの小学生だからです。

そのただの小学生が、
「小学校の最後の思い出に、このクラスの友達と全国で1番になりたい。」
というたったそれだけの理由で、早朝や休み時間や放課後はたまた休日を削って
ノーギャラで、ひたすら特訓するわけです。

中には運動が不得意な子供もいたりしますし、小学生の高学年っていったら
まだ、いかにも小学生っていう子供もいれば、
中学生並にでっかくなった子供もいたりするわけです。

要するに、練習を始める頃はバラバラなんです。
それが次第にチームとして結束していく。
運動が苦手な子がどうしたら早く走れるか、みんなでアイデアを出し合う。
試行錯誤の繰り返し。
でも、友達を信じて、また自分たちを信じて猛練習するわけですよ。

ある種、高校球児にも感動を覚えたりするのですが
高校野球は今やプロ野球はおろか、メジャーのスカウトまでやってくる
いってみたら日本球界のパドックのような見方が出来てしまうのです。
悲しいかな。

その点、30人31脚はものすごい。
30人31脚のプロチームってのもないし、それどころか
競技自体がスポーツのカテゴリで存在しない。
純粋に、人生の中のこの瞬間だけ。

優勝したって、賞金100万円と豪華海外旅行なんてのもなくて、
ただ、うれしいだけ。
汚れ切った大人がやってもまったく魅力もクソもないのだけれど
小学生がやると、事情が一変するのです。
ここまで延々と書けば、如何にに説明下手なきゅびでも
1割くらいは何故感動するか、つたわったこととおもいます。

勝者がいれば、当然敗者もいる。
こればっかりはルールだから変えられません。
優勝以外は全部敗者の気分をどっぷり味わうのが、この競技のすごいところです。
大人理論ならば、負けたところで失うものなど何もないわけですから
「あ~、いい線いったのになぁ。
 最後のマクリが甘かったなぁ。」
なんていいながら、打ち上げと称してそこら辺の居酒屋へ直行するところです。

どっこい彼らはピカピカに磨きこんだガラスのハートを一人一人が持った小学生なのです。
敗退が決まるとみんなぼろぼろ泣くんですよ。女の子も男の子も。
番組では、そのチームが普段どんな工夫をして練習していたりとか
実は○○ちゃんはこの大会が終了したら、お父さんの転勤で
別の学校に転校しなければならなくて、これが最後のみんなとの思い出
なんていうエピソードを教えてくれてたりするのです。

そんな話を聞いているうちに、汚れた大人の心もいつの間にか
子供たちと同じように純粋になっていって、
敗退したチームの子供たちが泣いているのを見ると
思わず一緒になって号泣してしまうのです。

とりわけ小学生のコメントが、また泣かせる。
以下は確か去年のコメントなんですけれど、
敗退が決まった女の子が、泣くのをこらえながら、
(でも、ぼろぼろととめどなく幾筋も大粒の涙が彼女のほほを伝う。)
「結果的には、最後には負けちゃったけど、
 それまでばらばらだったクラスのみんなが
 こうして同じところを見ながら、1つになれたことは
 とてもいいことだったと思います。」
ですって。

泣けてきませんか?
泣けてきませんか?

彼女の純粋な涙が、汚れ切った大人のむき出しになってしまった良心に突き刺さります。
彼女の涙を笑うやつは、きゅびが天に代わって張り倒します。
ちなみにきゅびは、このコメントを聞きながら号泣しました。
で、テレビをガシッとつかんでガタガタゆすりながら

「よくがんばった!
 泣いたって、いいんだぞ!
 試合にゃあ負けたが、何にもなくしちゃぁいねぇんだ!
 今日のところは泣いて、明日からずっと笑って暮らせりゃ、
 おめぇさんたちが勝者だ!
 なんかあったらうちに養子に来いっ!」
と涙ながらに叫んでました。

今年も良かった。
感服したのは東京代表の拝島小学校キャプテンの○○君。
他校のキャプテンは優等生タイプの子が多い中
彼だけは明らかにガキ大将キャラ。
でも強烈なリーダーシップでクラスのみんなを引っ張るわけです。

全国大会当日の控え室。
みんなに気合を入れるために彼はみんなの前で自らスキンヘッドにします。
そうまでして臨んだ試合でしたが、結果は残酷にもベスト4止まり。
クラスのみんながワンワン泣いて会場から引き上げる中、
彼だけが目に涙の「な」の字も見せずに

「泣くな!
 おれ達がやったことはすげぇことなんだ!全国で4位だぞ!
 胸張って学校に帰るぞ!わかったな!
 オラァ、顔上げろ!」

と、みんなを鼓舞するのです。
彼が一番一生懸命練習して、一番みんなのために苦労して、一番勝利を信じていた。
そして、大事な仲間と一緒に作り上げてきた、
彼にとって一番大事な宝物のようなチームの解散。
悲しくないはずがありません。

でも、リーダーとしての責任感の強い彼は悲嘆する友達を見て、
自分の役割を思い出してしまったのでしょう。
そしてきっと、家に帰ってひとり布団に入ったときに初めて
声を殺して泣くのだろうなぁと思ったら、
全く見ず知らずの馬鹿そうなガキンチョですが、思わず抱きしめたくなりました。

随分長くなった上に、落ちも何もないお話なので本当に恐縮しておりますが
汚れた心をすすぎたい皆さん・・・
とりわけ20代後半以上の随分世間慣れしてしまった方、
きっと再放送があります。
是非、30人31脚を見てみましょう。

あなたの心を涙ですすぐ、そんな番組です。
超、お勧めです。
[PR]
by hinemosunorari | 2004-12-05 01:05 | 日々のよしなしごと | Comments(0)

洒落と知性と愛そして無駄の織りなすブルース。


by きゅび
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31