きゅびの、ひねもすのらりノウタリン。

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冬海の解。

「冬海(ふゆうみ)」なる記事を書いた。
どんな記事かと言われりゃ、愛する人との別れの記事である。

だからだ。
「愛する人=嫁とか王子とか」という等式を心に描いた常識的な方々から、
僕を案ずる・・・いや、きゅび家を案ずるメールをドバッともらった。
「バカだな。嫁が俺みたいなイイ男を簡単に手放すわけないじゃんか。」
とか言いたいところだが、嫁からもその他大勢からも張り倒されそうなので、今日は言わない。
ともかく、我が家は至って平和で最高である。

では、昨日の記事は何なのか?とゆーハナシである。
実はこの度、思うところがあって、また諸般の大人的事情があって、
長年手がけていた歌手のコンサートツアーから今年いっぱいで手を引くこととなった。
これはまだ極めて一部の人しか知らないから、ひっそり僕のブログを読んでいる同業の人は、
来年の2月まで決して他言してはならない。
ともかく、こーゆー事態は僕も彼女も望んではいなかったワケなのだが、
げに大人の社会ってのはヒジョーに厄介で、メンドークサイのである。

僕はたまーに仕事のことなんかを記事で書く。
僕のブログに繁く通う方の多くは、僕の職業をご存知だろう。
だが、超・たまーに書く「ツアー」というのが、いったい誰のコンサートツアーなのか、
僕がレギュラーで手がけている歌手とは誰なのかを知る人は、結構少ない。

この際、極めて強烈なヒント(ほぼ解答といってもよかろう)を言おう。
前回の記事のタイトルを早口で5,6回唱えていただきたい。
そう、夜桜をモチーフにした代表曲を持つその女性歌手こそが、
僕が担当する歌手その人なのである。

ズレた話を元に戻そう。
僕は学生時代からこの世界の仕事にどっぷりと浸っていたので、
一般社会に生きる方々が、どうやって職業人として育ったのか?とか、
どうやって成長し、自分の価値を高めたのか?ということを全く知らない。
ただ一つ自分に関して言えることは、僕を磨いたのは演出家・高平氏であり、
僕を育てたのは、歌手・冬海さん(←検索に引っかかると面倒なので、実名は書きません。)
なのである。

ツアーを下りることを意識し始めたのは今年の秋口頃だった。
その頃は何とも思わなかったのだが、ツアーファイナルが見えてきたこの頃は、
1公演終えるごとの寂寥感たるや尋常ではない。
僕自身が駆け出しの頃から勘定すると約10年、この人を美しく見せたくて頑張ってきたのだ。

・・・語弊があるな。
頑張ったのは表向き彼女のためだったけど、結果的には僕が彼女に育てられた。
僕が彼女と彼女を取り巻く人たちと全国にいる観客とに大きく育てられた。
そう言うべきだ。うん。

いやぁ、多くを語れば語るほど野暮ったくなる。
こう言うときは、言葉ってのは何て役立たずなウスノロなんだろうとか思うワケである。
大事なことは昨日の記事にも書いたとおり。
瞬く間に過ぎていった10年だが、曇る想いは何もないし、当然悔いもない。
この胸に残った歌を、彼女が届けてくれた歌を、
姿を変え形を変えて、より多くの人に伝えてこそ本物の照明家といえるのではなかろうか。
そう強く思う今日この頃、来週は上越で最後の本番を迎える。


『冬海』

満ちた潮が静かに引いていくと、
黒い浜にはぽつんと一つだけ、白い貝殻が残った。
砂にまみれたそれを、拾い上げて耳に当ててみる。
聞こえたのは、愛して止まないあの人の歌だった。

喜びであふれた時も、苦しくて心が折れそうな時も、
絶えず僕と共に在り、僕の道を照らしてくれた。
優しく、厳しく、強く、美しく、
そして悲しく。
それは潮騒のように。

人は出会い、別れる。
それが宿命というならば、せめて残されたこの歌は、
あの人と歌い続けたこの歌は、この身に刻もう。
あの人のかわりに、誰かに歌ってあげられるように。
いつまでも歌ってあげられるように。

満ちた潮が静かに引いていくと、
黒い浜にはぽつんと一つだけ、白い貝殻が残った。
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by hinemosunorari | 2008-12-11 02:35 | 日々のよしなしごと | Comments(22)

冬海

満ちた潮が静かに引いていくと、
黒い浜にはぽつんと一つだけ、白い貝殻が残った。
砂にまみれたそれを、拾い上げて耳に当ててみる。
聞こえたのは、愛して止まないあの人の歌だった。

喜びであふれた時も、苦しくて心が折れそうな時も、
絶えず僕と共に在り、僕の道を照らしてくれた。
優しく、厳しく、強く、美しく、
そして悲しく。
それは潮騒のように。

人は出会い、別れる。
それが宿命というならば、せめて残されたこの歌は、
あの人と歌い続けたこの歌は、この身に刻もう。
あの人のかわりに、誰かに歌ってあげられるように。
いつまでも歌ってあげられるように。

満ちた潮が静かに引いていくと、
黒い浜にはぽつんと一つだけ、白い貝殻が残った。
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by hinemosunorari | 2008-12-09 00:13 | 日々のよしなしごと | Comments(8)