「姨捨伝説」に関する一考察。

先日、記事「姨捨伝説」を書きました。
皆様からのコメント、人目に触れるものも触れないものも含めて、
全てを真摯に受け止めさせていただきました。

そもそも、仕事で赴いた長野県で「姨捨山」を見つけたときから、このお話は始まるのですが、
今でもこの記事を自分で書いたのか、あるいは自分以外の誰かの意志に書かされたのか、
何だかわからない不思議な心境です。

と申しますのは、僕自身が訳している時から、まったく予見しない方向に話は膨らみ、
また、それを読んで頂いた皆様からの(一見バラバラな)コメント・メッセージなどによって、
僕一人ではそれまで気づかなかった、この「姨捨」という作品の別な側面まで見えてきたからです。
自分以外の不思議な力で、自分が到達し得なかった境地に自分が導かれていく・・・
さながら映画「FIELD OF DREAMS」のような、不可思議な感じなのですね。

で、最終的に出た僕なりのこの作品に対する考察は、ある方との掲示板でのやり取りの中で
上手く表現できたような気がするので、それをほぼそのまま引用させていただきます。

***********************************

さて、記事に関してですが、原文では「嫁」が人間的にもどうしようもないヤツで・・・
と言うような記載がされています。
が、僕が勝手に想像するに、嫁は嫁の立場で「母」として子供たちの命を守ろうと、
それはそれは必死だったと思うのですね。
で、「男」に悩みを吐露する時まで、大きな苦しみを味わったと思うのです。

「姨」もその村で70年(楢山節考によると)も生活していたのですから、
「男」が持ちかける「山寺でのありがたい法会」などと言うものが存在しない事は、
半ば知っていたと思うのですね。
それでも喜んで背負われたと言うのですから、小母も相当の苦悩を抱えていたのだと僕は思うのです。

そして「男」。彼も苦悩の末、苦渋の決断をしましたが、最終的には
「どんなに美しい月でさえも、この心の痛みは癒せはしない。」
と詠んで、小母を迎えに再び山へ入ります。
例え、それが何ら事態の解決にはならないとしても、です。

人には色々な立場があって、それぞれ思いとは別なところで「責任」を果たさなければなりません。
それを踏まえたうえで、三人それぞれの立場でこの「姨捨」を読むとき、
このお話の本当の姿が見えてくると思うのです。

最後に、僕はこのお話では触れられていないですが、
嫁は帰ってきた二人をきっとほっとして受け入れたと思うのです。
そして、もし「男」が山に再び入らなかったとしたら、「嫁」が山に小母を迎えに行ったと、そう信じます。
だからこそ、この説話は「大和物語」だけでなく「今昔物語」や「古今集」といった
他の古典作品にも取り上げられていると思うのです。

**********************************

なんだか、千年前の「大和物語」の作者が現代に生きる僕たちに、宿題を突きつけてきたような、
そんな感じにも襲われたりしています。

「人間である以上、そうやすやすと答えの出る問題ではない。
 同時に人間である以上、ずっと目をそむけているわけにも行かない。」

そんな問いかけが、遠い過去の世界から何だか聞こえてきそうです。
さて、こんな不思議な感覚は、お酒に酔っ払っていてもなかなか味わえる事はありません。
とはいえ、お酒にはお酒でしか味わえない魅惑の世界があるのもまた事実。
次回はきゅびを魅了するお酒の世界について書こうと思います。

(アルピニアさん、お待たせいたしました。ようやくたどり着きました^^;)




」」」」」当時のコメント」」」」」

osakaken う~ん・・人は感情がいらないと思うほど苦しい時がありますよね。たぶん・・
みんな・・そんな心を持ちながら昔から暮らしを続けてきたのでしょうね。

2005/05/24 17:55

アルピニア そうだよね、目をそむけてばかりじゃいけないよね。。 ちゃんと向き合わないと!
ところで。。 お酒の世界、待ってましたww 楽しみにしてますねーv(^^)v  
2005/05/24 18:49

きゅび
■osakakenさん
 おっしゃるとおりだと思います。
 過去に先人たちが、同様の苦しみを幾度となく乗り越えてきた事実に励まされる事
 僕自身大いにありますから^^
■アルピニアさん
 アルピニアさんの書き込みがなければ、気づかなかったことも沢山ありました。
 「痛い」とおっしゃった時点で、アルピニアさんはすでに
 多くの問題に向き合ってると思います^^
 そして、ようやく約束が果たせるので次回の記事は僕も楽しみです^^
2005/05/24 20:07

はむねこさん 理想どおりのハッピーエンドより、なかなかうまく行かない話の方が・・・
内容を考えた時に考えさせられますね^^よくわからない分ですが^^;
今回の記事は、本当に考えさせていただきました^^ありがとうございます♪
2005/05/24 20:40

きゅび
■はむねこさん
 そうですね!おそらく男の一家は問題を解決できないまま皆で抱えて、
 それでも生きていったと思うんですよ。
 それがある意味、多くの問題を抱え込んでいる現代人の生き方にも通ずるかな、
 と思います。
 それにしても、サーバーエラーで一度記事が白紙になった事も含めて
 本当に不思議な気分です^^;
2005/05/24 23:51

m⇔k きゅびさんの記事は 考えさせられます。
でも それがいいんだな~v ̄ω ̄(v ̄ω ̄(v ̄ω ̄)
2005/05/25 18:05

きゅび
■m⇔kさん
 たまにこういう記事を書くとですね、皆様が思うことを
 コメントしてくださるじゃないですか。
 それを読んで考えてるとですね、自分じゃ見えなかった世界が突然「ぽこっ」って
 目の前に広がったりするんですよね^^;
 僕は、いや、僕の方こそそれが面白いです^^
2005/05/26 14:05
[PR]
by hinemosunorari | 2005-05-24 17:21 | 日々のよしなしごと | Comments(0)

洒落と知性と愛そして無駄の織りなすブルース。


by きゅび
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30